海外ドラマ『LUCIFER/ルシファー』第9話【神父が酒場にやって来た】(原題:A Priest Walks into a Bar)のあらすじネタバレと感想がまとめてあります。
前回はこちら
⇒ LUCIFER ルシファー第8話【嫉妬】
LUCIFER ルシファー第9話のあらすじネタバレと感想【海外ドラマ】
第9話【神父が酒場にやって来た】
青少年センターを隠れ蓑にした麻薬取引に端を発する殺人事件を通じてルシファー・モーニングスター(トム・エリス)は友情の芽生えとその喪失に苦しみます。また、マルコム刑事銃撃事件については新事実が明らかになると同時に、新たな陰謀が進行中であることがわかりました。
ルシファーの友情に関する物語では、彼の友情に対する感情の浮き沈みが強調される一方で、マルコム刑事銃撃事件に端を発する陰謀については、ルシファーの兄弟である天使アメナディエル(D・B・ウッドサイド)による企みの冷酷さが強調されます。
悪魔と天使というイメージには、まったくそぐわない面をルシファーとアメナディエルそれぞれが見せるところが面白い回です。
ルシファーのこれまでの人間関係は、父である神、そして兄弟の天使アメナディエルというように、そのほとんどが垂直的人間関係であり、友人という対等な人間関係を築くことはありませんでした。
しかし、青少年センターでの事件を通じて知り合った神父(コールマン・ドミンゴ)とルシファーとの間には友情が芽生えそうになります。ルシファーは友情という感情に困惑し、素直に友を思う感情を認めることができません。
ひたすら快楽を追求する信条であるルシファーと禁欲を貫く神父との間に友情が成立するあたりに、かなりの意外さとルシファーの友情を認めない頑なさに影響します。
神父は青少年センター事件の真犯人であるカウンセラー(アダム・バートリー)に殺されてしまうのですが、死に際に、ルシファーに出会ったのは神の導きだと告げました。
しかし、神父が抽象的な意味での神の導きと言っているのか、ルシファーの父の企みとして神父をルシファーに引き合わせたのかはわかりません。神の僕である点で2人は共通しているのですが、2人の間には神の認識をめぐり大きな違いがあることが、このシーンでは示唆されます。
ルシファーの知る神は、今回の神父のように善人に死をもたらすなど、時に冷酷で無慈悲です。そうした神の差配を神父は神の定めと割り切り、甘んじて神の導きを受け入れます。見返りを求めず、どこまでも献身的な神父に対し、神は冷酷に映りました。
神父の死に対するルシファーの嘆きは、時として残酷すぎる仕打ちを与える神に対する怒りでもあり、この感情は非常に人間的なものにうつります。
マルコム刑事銃撃事件に関しては、クロエ・デッカー刑事(ローレン・ジャーマン)の元夫で刑事のダン(ケヴィン・アレハンドロ)が銃撃の真犯人であることが前回わかっていました。今回、銃撃の動機が汚職刑事であるマルコム(ケヴィン・ランキン)からクロエを守るためであることがわかります。
昏睡状態から復活したマルコムは自身を撃ったダンを脅迫し、都合の良いようにダンを使おうとするのでした。前回は銃撃の動機が明かされず、ダンがかなりの悪役である印象で終わったのですが、今回はそのイメージがひっくり返ってしまいます。
面白さという点では、ダンが悪役のままでもよかったような気がしていたのですが、マルコムの性悪さの背後にアメナディエルとの密約が存在していたことを知り、ダンをこれまで通りクロエに献身的な元夫にしておくことに納得がいきました。これでクロエが捜査する警察内の汚職事件とルシファーをめぐる問題がつながったからです。
マルコムは意識を取り戻すことと引き換えにルシファーを殺すという密約をアメナディエルと交わします。ルシファーを殺そうとするアメナディエルの動機はまだはっきりとしません。
しかし、天使のアメナディエルが性悪な人間であるマルコムと密約を結ぶなど、天使には似つかわしくない行いです。悪魔のルシファーは友人の喪失に苦悩する、他方で天使のアメナディエルは悪魔のような取引を人間と交わすなど、天使と悪魔の役割が入れ替わる物語となっています。
しかし、それを不自然に感じさせないのは、快楽を追求する悪魔の本質に人間的で泥臭い部分があり、それが大きくなれば自ずと悪魔は人間に近づく一方で、天使の潔癖な部分は時に極端な冷酷さを発揮し、悪魔のように思えることがあるのを暗示しているのかもしれません。
気になる次回は
⇒ ルシファー第10話【家族のような関係】
まとめ
海外ドラマ『LUCIFER/ルシファー』第9話【神父が酒場にやって来た】のあらすじネタバレと感想をまとめました。
ひきつづき、第10話【家族のような関係】以降も情報アップしていくので、楽しみにしていてくださいね。